刑事告訴を行う際に必要なもの誹謗中傷は刑法において、名誉毀損罪または侮辱罪、あるいはその両方に当たる可能性があります。もし誹謗中傷によるそれらの罪が認められれば、刑事告訴を行うことができます。しかしそのためには、確かな事実や証拠、告訴する側の確固たる意思が不可欠となってきます。
事実や証拠に関しては、誹謗中傷された相手が特定の個人であること、被害が社会的な実害を生んでいるもしくは誰が見ても社会的な信用を失墜させるような内容であることが条件です。実質的な被害がないと判断される場合は、処罰の対象外になるため、民法上の措置が検討されることもあります。
さらに、本人にとっては誹謗中傷でも、社会的な利益を獲得するためだったり、情報の発信者が自身を守るためにやむを得ず公表したといった場合は、告訴できない場合もあります。告訴する意思に関しては、たとえ誹謗中傷の事実があったとしても、告訴する意思がなければ警察による捜査は行われません。
誹謗中傷を警察に届ける手段の一つとして被害届の提出もありますが、被害届だけでは捜査義務は生じないので、必ず正式な手続きを踏まえて告訴するようにしましょう。
刑事告訴の手続き方法誹謗中傷の告訴は、情報発信者の処罰を求めるために行うものです。被害届は誹謗中傷があった事実を報告するためだけのものですから、処罰を求めるか否かという点で区別されているのです。実は刑事告訴には難しい手続きは必要なく、口頭でも行なうことができます。警察が告訴調書を作成してくれるので、手続きに面倒な書類作成などは必要ありません。
しかし、警察が誹謗中傷の事実や証拠を認めてくれない場合も考えられるため、告訴状を作成し、証拠と合わせて警察に提出する手続きが必要なケースもあります。
もし誹謗中傷を受けたのがインターネット上の書き込みであれば、すぐに削除したいと思う気持ちが先走るのも十分理解できます。しかし、警察に提出する段階で書き込みが残っていなければ証拠として認められないため、ここはぐっと我慢して、できるだけ完全な形で保全するように注意してください。