誹謗中傷行為はネット社会の負の側面インターネットが生活に欠かせないツールとなった現代において、ネット上で企業や団体、個人を対象とした誹謗中傷行為は増える一方です。かつての時代なら、こうしたターゲットになり得るのは政治家や芸能人、スポーツ選手などの有名人に限られた話だと認識されていました。しかし、インターネットでは悪意によって個人情報や風評、デマの類を流布、拡散することが容易であり、いったん流出した情報の削除は不可能であるため、事態が深刻化することが多いのです。
誹謗とは、根拠なしに相手を貶め、名誉を汚す行為を指し、中傷とは根拠なしに相手に対して嫌がらせをしたり、悪口をふれ回る行為のことで、現在ではこの2つを合わせてネット上の被害の総称として使われるようになっています。
誹謗中傷にあたるかどうかの第一のポイントは、書かれた内容が事実かどうかということで、第二のポイントはターゲットが明示されている、あるいは容易に特定でき、それによって社会的な信用の失墜や実害が発生したなどの事実があることです。
プロバイダにも法的責任がある被害者に様々な不利益をもたらす誹謗中傷行為は、名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪、威力業務妨害罪などのれっきとした犯罪行為に当たるので、法的措置を念頭に置いた対処が必要です。誹謗中傷の被害を受けると、誰でもショックや怒りの感情にとらわれがちですが、ここはまず冷静になって、ネット上に書かれた情報が真実であるか、全く根拠のない虚偽であるかを見極めることが大切です。
インターネットが不特定多数の人の目に触れる可能性の高い「公の場」である以上、掲示板などのコミュニティサイト上で根も葉もない悪質な誹謗中傷が行なわれているとしたら、プロバイダやサイト管理者に対し、プロバイダ責任法において違法な書き込みの削除要請をすることができます。
被害者だけでの削除要請が難しい場合は、法務局がプロバイダに削除を命じることができるので、全国の法務局窓口に相談してください。また、誹謗中傷が深刻な名誉毀損に当たる、または何らかの実害が発生したり、そのおそれがあるといった場合は、まず削除はせずに当該サイト名とURL、書き込みのあるページを証拠として保全し、公私の立場に関わらず警察に被害届を提出することをおすすめします。
たとえ正式な捜査に至らない場合でも、何らかのバックアップを得ることができます。発信者=加害者を特定して刑事告訴したり、民事訴訟による損害賠償請求を考えている場合は警察の介入が効果的ですが、誹謗中傷事案にあたるかどうかはケースバイケースという部分も大きいので、まずは警察や弁護士などに相談することが解決の近道となるでしょう。