「名誉毀損・誹謗中傷」が増えているSNSやスマートフォンの普及により、芸能人や有名人ならずともインターネット上で誹謗中傷に巻き込まれる人が増えています。
「平成27年上半期のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」によると、都道府県警察の相談窓口には、平成27年の上半期だけで59,073件の相談が寄せられているといいます。そのうち、「名誉毀損・誹謗中傷」は5,147件にのぼり、前年を上回るペースで増えています。
インターネットは手軽で便利なツールである一方、個人を特定するような誹謗中傷が一度でも「拡散」されてしまうと、不特定多数の人に閲覧されてしまうという怖い面があるのも事実です。今回は、インターネットによる誹謗中傷に巻き込まれる前に、その対策について考えてみましょう。
誹謗中傷を見つけたら「記録・保存」を忘れずに「誹謗中傷」とは、「他人に徹底的な悪口などをいう行為」です。「名誉毀損」がそれにあたりますが、インターネットの掲示板などに「他人の名前やプライバシーに関する内容を書き込む」ことによって「侮辱」されるケースも考えられます。
自分のことを誹謗中傷する投稿を見つけたら、「その書き込みを一刻も早く消したい」と思われるかもしれません。しかし、削除する前にしておくべきことがあります。それが、「記録と保存」です。もし、民事や刑事で争う場合、書き込まれた内容を示す証拠が必要だからです。その時は慌てずに、該当するページを印刷してプリントアウトしたり書き込み画面をキャプチャしたりして保存しましょう。その際、いつ・どのサイトに書き込まれたのか、分かるようにしておくとよいでしょう。
管理者への削除依頼をすすめよう一通り「証拠」を集めた後は、誹謗中傷の削除依頼をしましょう。誹謗中傷が書きこまれたのが掲示板であれば、その管理者に削除依頼をすることが必要になります。そうは言っても、管理者の連絡先がわからない場合や削除依頼を送っても、誹謗中傷内容が削除されない場合もあるようです。もし、サイトの管理者に削除を依頼しても該当する内容が削除されない場合は、プロバイダに削除依頼を行う手続きが必要になります。
また、たとえ元の書き込みが削除されても、その投稿をコピーして新たな内容がインターネット上に出まわるケースも考えられます。それが、新たなトラブルにつながる場合もあるので、内容によっては発信者を特定するための手続きも必要になるでしょう。
それでも解決せずに、実生活に被害が及んでしまった場合は、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」で告訴することも考えられます。いずれにしても、誹謗中傷の書き込みを見つけたらできるだけ素早く対応して、被害を最小限にくいとめたいですね。
迷ったら記録を今回は、誹謗中傷の被害者となったケースを考えました。しかし、自分が被害者になるだけではなく、知らず知らずのうちに加害者になる恐れがあることも忘れてはいけません。また、最初は誹謗中傷とは思えないような些細な内容であっても、書き込まれるがどんどん過激になっていくケースもあるかもしれません。
もし、「名誉毀損」にあたるかどうか迷うような書き込みがあったら、削除依頼をする・しないにかかわらず記録しておくとよいでしょう。