痴漢否認事件の弁護活動(起訴前弁護)

痴漢否認事件の弁護活動(起訴前弁護)1.接見の重要性
身に覚えのない痴漢事件の犯人として警察に身柄を拘束されてしまった場合、精神的肉体的疲弊及び捜査官の執拗な取調べから解放されたいがために虚偽の自白をしてしまう方が少なくありません。そこで、このような事態を避けるために、弁護士との接見を迅速に行うことが重要です。

弁護士は、被疑者との接見の際、自白調書が取られた場合の不利益を十分説明し、黙秘権、調書訂正申立権、署名押印拒否権等の被疑者の有する権利を伝え、取調べに関する適切なアドバイスを行います。また、被疑者を励まし、被疑者の精神的不安を軽減するよう努めます。

2.被疑者の身柄解放
弁護士は、身柄拘束から被疑者を早期に解放するため、担当検察官と面談して在宅の取調べを要請し、検察官がこれに応じないときは勾留裁判官と面接し勾留請求を却下するよう求めます。また、勾留決定後は、勾留決定に対する準抗告や勾留の取消請求等を行い身柄解放に向けた積極的な働きかけを行います。

3.証拠の収集
弁護士は、被疑者から事件当日の電車内の状況や運行状況について詳細な聴き取りを行い、被害者の言い分との矛盾点や不合理な点を発見するよう努めます。そして、このような点が発見された場合には、そこを強調して検察官に対して有罪立証が困難である旨を説き、不起訴処分とするよう要請します。

痴漢否認事件の弁護活動(被告人弁護)1.痴漢事件の類型痴漢冤罪事件
(1)被害者の女性が、実際に被害にあっているが犯人を被告人と誤信した場合、(2)そもそも痴漢の被害事実が存しないのに、女性が何らかの事情で被害にあったと誤信する場合、(3)被告人に対する怨恨等により虚偽の被害事実を申告する場合があります。

2.公判における弁護活動痴漢事件
一般に、被害女性の証言は裁判官に信用されやすく、これのみで被告人が有罪とされてしまうこともあります。そこで、被害女性の証言の信用性を崩すことができるか否かが被告人の有罪無罪の分水嶺となります。従って、弁護人は、被害を受けたときの女性の観察状況のあいまいさや、女性の過去の申告歴、女性の思い込みの事実等を明らかにして、女性の証言の信用性を崩すための弁護活動を行います。

また、被告人から電車内における女性と被告人との位置関係や電車の混み具合、被告人の立っていた状況を詳細に聴き取り、被告人の位置関係から女性が供述するとおりの犯行が可能であるかを検討します。

痴漢事件の弁護活動(自白事件)1.痴漢行為と犯罪類型電車内の痴漢事件
その態様によって迷惑防止条例違反に該当するものから刑法の強制わいせつ罪、公然わいせつ罪に該当するものがあります。迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪との区別は、一般に行為の態様が女性の下着のなかに手を入れたものであるかどうかで区別されます。

東京都迷惑防止条例に該当する場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科され、強制わいせつ罪に該当する場合は、6月以上10年以下の懲役刑が科されます。前者は、被害者の告訴がなくても起訴できますが、後者は、被害者の告訴がないと起訴することができません。

2.不起訴処分を受けるための弁護活動
被告人の犯行が強制わいせつ罪に該当すると考えられる場合には、上記のとおり被害者の告訴がないと起訴することができないので、弁護士は、被害者に告訴を取消すよう交渉します。迷惑防止条例に該当すると考えられる場合には、被害者と示談が成立していることが不起訴処分の重要な事情となるので、積極的に示談交渉を行っていきます。

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