公判前整理手続とは

公判前整理手続とは裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認めた場合、検察官及び被告人または弁護人の意見を聴いて、決定で、事件を公判前整理手続に付することができます(刑事訴訟法316条の2第1項)。

公判前整理手続は、公判審理の充実・迅速化を目的として、事件の争点及び証拠の整理を行うものです。公判前整理手続に付されていない事件であっても、公判の事前準備は行われますが、そこでは、検察官や弁護人といった当事者双方が自発的に行うべきものとされており、裁判所は補佐的役割を果たすにすぎません。

しかし、公判前整理手続では、当事者は、裁判所の下で、公判においてする予定の主張を明らかにし、その証明に用いる証拠の取調べを請求することなどを通じて、事件の争点を明らかにし、裁判所は、公判で取り調べるべき証拠を決定した上、その取調べの順序・方法を定め、公判期日を指定するなどして明確な審理計画を策定するものとされており、裁判所がより積極的に手続に関与することが予定されています。

なお、裁判員裁判対象事件については、全件が公判前整理手続に付されることになります。そして、公判前整理手続を進めるためには、弁護人がいなければなりません。

公判前整理手続における証拠開示の種類公判前整理手続において、弁護人から検察官に対して認められる証拠開示は、検察官請求証拠、類型証拠、主張関連証拠の3類型があります。

まず、検察官請求証拠についてですが、検察官は、公判前整理手続において、証明予定事実を明らかにし、この事実を証明するために用いる証拠の取調べ請求をしなければなりません。そして、検察官は、検察官請求証拠について、速やかに、弁護人に対し、証拠書類又は証拠物については、これを閲覧・謄写する機会を与え、証人については、その氏名と住居を知る機会を与え、その者が公判期日において供述すると思われる内容が明らかになるものを閲覧・謄写する機会を与えなければなりません。

次に、類型証拠についてですが、検察官は、検察官請求証拠以外でも、一定の類型に該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、被告人又は弁護人からの開示の請求があった場合には、その重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認められれば、開示をしなければなりません。開示の方法は、検察官請求証拠と同様です。

最後に、主張関連証拠についてですが、検察官は、検察官請求証拠及び類型証拠として開示をした証拠以外の証拠でも、被告人側が明らかにした証明予定事実その他の事実上及び法律上の主張に関連するものについて、被告人又は弁護人からの開示の請求があった場合には、その関連性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認められれば、開示をしなければなりません。開示の方法は、検察官請求証拠と同様です。

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